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【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん

伝統✕作家の想いから生まれた、大島紬のテディベア「奄美の森のくまさん」

【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん


奄美のハンドメイド界を盛り上げ、ハンドメイド作家の発掘やスキルアップなどを目的に開催されるハンドメイド作品コンテスト「第7回あまみハンドメイド大賞」が、2022年12月に鹿児島県奄美大島で開催されました。

第7回となる今回は18名の作家の皆さまから、27作品が集まりました。大島紬の小物やアート絵画作品、アクセサリーや食品など多様なジャンルのの作品群に対し、製作の背景ストーリー、パッケージ、味などすべてを加味して審査会が行われました。

厳正な審査を経て、グランプリと奄美市賞のダブル受賞となったのは、奄美市在住の久保 智子さんの作品「奄美の森のくまさん」です。

奄美大島の伝統織物「大島紬」のハギレを使用したテディベアは、細部にまでつくり手のこだわりが感じられ、同じ型紙で作っていても同じ表情は二つとない世界に1つの作品です。
今回はグランプリと奄美市賞のダブル受賞となった、ハンドメイド作家の久保 智子さんに、ハンドメイド作家になったきっかけや、受賞作の「奄美の森のくまさん」についての想いなどを伺いました。


|授賞式のコメントでも「幼少の頃からものづくりの環境に囲まれていた」とのことでしたが、どのような環境だったのか、詳細をお聞かせいただけますか?

【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん

奄美大島の東岸に位置する小湊で育ちました。昭和世代で、山口百恵が全盛期でしたが、その当時のアイドルの衣装は袖が膨らんでいるブラウスが流行っていたんです。私もこんなのが欲しい!と、自分で作って着たのがものづくりの始まりです。

奄美大島の大島紬の生産が盛んだった頃、私の母は織子(おりこ)さんという機織りの仕事をしていました。自宅の裏が工場だったので、機を織る音が年中聞こえていました。

その当時は、紬の元請け業者が工場の織子さん達にお茶代を支給していて、3時になると織子さんたちはおやつとお茶で休憩するんです。私はそのおやつを目当てに遊びに行っていました。繊細な紬のデザインは美しく、機を織る音も心地よくて、そこに行くのが日課になるほど、紬の工場は私にとっての遊び場だったんです。

私の家系はものづくりを生業としている人が多いのですが、やはり血筋なのですかね。
母も織子だったし、叔父も大工です。
私の1つ上のいとこは、トールペイントの講師をしています。彼女は私にとって師匠ともいうべき 存在。 イベント出店のアイデアを教えてくれたり、ミニチュアや、レジンなど様々な事をやっているので、アドバイスは的確で巷で流行っているものとか教えてくれたりと、すごく頼りになる存在なんです。


|今回、「大島紬を使ったテディベア」でグランプリ・奄美市賞を受賞されましたが、これまではどんな作品作りをされていたのでしょうか?
また、どのような経緯で「大島紬を使ったテディベア」を作ることになったのでしょうか?


【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん

これまでは、ハンドメイドブランドの屋号「BLANCHE」(ブランシェ)として、がま口や小銭入れ、バッグやポーチをメインで製作してきました。ファンの方たちに支えられながら活動していますが、今回のハンドメイドマーケットの店舗出店では、今回はがま口が無いのね、とファンの方が残念がっていたぐらい、BLANCHE=がま口というイメージが定着しているようです。

今回はテディベアの出品で賞をいただきましたが、実は人形自体は20代のころから作っていたんです。ですが型紙を作らず、頭の中で考えて形にしていました。
こんな風にカッティングしていけばいいかなと考えて、バンビの人形を作っていたのですが、その時は主人のポロシャツや子どもの服などを使用して、製作していました。

大島紬を使ったテディベアを作ることになった経緯ですが、気持ちを込めた作品作りをしたいという想いがあったからです。
「あまみハンドメイドマーケット」には、第3回目から作品を出品していますが、大島紬を広めたいという思いがあり、これまでずっと紬を使った作品作りをしてきました。
これまでの作品は小物の製作だったのですが、瞳があるものって作家の気持ちがより込められるのでは?というところから、テディベアを作ることにしたんです。
瞳があるものだと、購入した方も大事にしてくれるだろうな、という気持ちもありました。

これまでもテディベアは作ってきてはいたのですが、今回は以下の想いから、大島紬のテディベアの製作に至りました。
・大島紬の美しさを間近で見てもらいたい
・手のひらでおさまる愛らしいもの
・瞳にもこだわる


また、大島紬の小物は使っているうちにどうしても布地が擦れてきてしまうので、日常使いではなく、目の前に置いていて愛でてもらえるものにしたかったんです。


|「紬を使ったテディベア」を作る上で工夫したことや、苦労したこと、また注目して欲しい点などをお聞かせいただけますか?

【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん

テディベアの瞳にはかなりこだわりました。あまみハンドメイド大賞の受賞作品は、プラスチックの瞳なんですが、今作っているテディベアは全てガラス玉の海外製の瞳を使用してます。瞳の材質で目の輝きや生き生きとした感じが全く異なるんです。

今回は大島紬のハギレを縫い合わせたキルティング生地でテディベアを作っているのですが、ハギレを小さくすることで、紬の柄がより一層際立つようになっています。

至近距離で見ていただくと、ハギレの中で意外な色を使っているのが良く見えるし、それがとても映えるんです。
継ぎ目で見えなくなる部分も考慮し、ハギレの配置までこだわったキルティング生地からテディベアの型を作っています。
パーツにしたものを縫い合わせていきますが、縫い合わせる際に、テンションがかかって破れてしまうようなところには、接着芯を入れて、破けないように作っています。
手足の留めはボタンになっているので動かすこともできるようにしてあります。

【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん

テディベアって耳と目の位置によって印象が変わってしまう人形なんです。目のくぼみは後ろから引っ張って作るのですが、位置を待ち針で決めても、なかなか思い通りにならないことも多かったです。
でも、全く同じテディベアにならないというのは、それが個性になるという面もあるな、と改めて気づかされました。

テディベアって大きいサイズのものもありますし、座っている様を遠目で全体像を見るようなことが多いですが、この手に収まるサイズのテディベアは至近距離で折り目をまじまじと見れるのが良いと思っています。


|あまみハンドメイドマーケットへの出店および大賞作品出品の常連でもある久保さんですが、いつからハンドメイド作家として活動するようになりましたか?

【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん

ものづくりはずっと行ってきましたが、次男が大学に行き、手が離れたタイミングで、本腰を入れて製作するようになりました。

もともとは公務員だったので、副業ができないため、本腰を入れた活動ができませんでしたが、今の職場では上長の許可を取り、きちんと手続きをして副業としてハンドメイド作家活動を行っています。
BLANCHEという屋号を付けて、製品として売り出すようになったのが5年前からです。
屋号をつけた時は作家としてやっている実感が湧いてきてとても嬉しかったです。

おかげさまでファンの方もついてくださるようになり、大賞への出品やあまみハンドメイドマーケットでの販売を毎回楽しみにしてくださっています。


|久保さんはハンドメイド作家として活躍するほか、フルタイムで他のお仕事をされているそうですが、両立していく上での秘訣などはありますか?
またご家族の方はそんな久保さんをどう捉えていらっしゃるのでしょうか?


両立していく秘訣は、職場の方に受け入れてもらう事ですね。
非難されながら活動しているんじゃ続きません。自分の作家活動としての時間が持てるのは職場の方が理解してくれているから。

でもただ受け入れてもらうだけではなく、両立していくための自身の心がけも大事です。
ハンドメイド作家の活動により、仕事に穴をあけて職場に迷惑をかけてしまうことは絶対にできないので、きちんと睡眠を取る、風邪をひかないようにするなど体調管理は必須ですね。

私の場合、家族みんなが私を応援してくれている事が、両立できる理由の一つです。長男も次男もサポートしてくれますし、自分たちにできることはやるよ、と家事洗濯なども進んでやってくれるんです。
今は長男も次男も島外で暮らしていますが、同居しているときに製作活動の繁忙期で「この期間は家事はできない」と私が宣言したら、快く了承してくれて、代行してくれました。本当に感謝しています。

息子たちについては、本当に良い青年に育ってくれたなという思いでいっぱいです。
私は料理が好きなので、高校までは毎日必ず息子たちにお弁当を作っていました。
お弁当はできたてを食べさせたい!と思っていたので、朝持たせるのではなく、高校の下駄箱の上にお昼の時間までにお弁当を置いておき、息子たちがお昼時にそれを取ってきて食べるというようにしていたんです。
こんな風にしているのはうちだけかな?と思っていたら、他のお母さんたちもやっていたので、奄美ってそういうシステムなんだなぁ、と思って面白かったです。

卒業の時には息子に手紙をもらったのですが。毎日作ってくれるお弁当がすごくありがたかった、今まできちんと伝えられなかったけど、いつも美味しかったし、すごく感謝してる、という、とてもジーンとくる内容でした。
奄美にいたら、多くの若者は18歳で島を出ていくことになりますが、島外にいるからこそ、帰省の時に会える嬉しさも倍増しますし、息子の元を訪ねて、島外に行く機会も増えるので、私は前向きに捉えています。


|二足のわらじを履きながら好きなことをやり続け、常に新しいものづくりを探求していく久保さんに感銘や影響を受けていらっしゃる方は大勢いらっしゃると思います。そんなハンドメイド作家さんたちに、アドバイスやコメントをお願いします。

【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん

奄美はものづくりの島とうたっていますし、ものづくりをする人たちへのサポートがとても手厚いです。奄美市やしーまなどがいろいろな機会を設けてくれているのもありがたいです。

あまみでのハンドメイド活動にもっと多くの人が参加して欲しいと思っていますし、私の周りにもハンドメイドをやっている方たちは結構いるんですが、人には見せられないと思っている方が多いんです。
このくらいのレベルでないとダメという規制は何もないので、恥ずかしがらずにいろんな機会を利用して、もっと積極的に参加して欲しいと思っています。

私の最初の販売はフリマだったんですが、少ない商品数で全く売れませんでした。でも最初はできなくて当然なんです。だってノウハウが無いので。
最初から売ることは難しいけれど、売れた時の喜びをモチベーションにして、がんばってほしいです。

最初売れないのも、それは経験値であり、マイナスとは思いません。そういう経験は自分の勲章になると思っています。
誰もがスタートラインに立つ場面はあるし、無名の時は誰にでもあります。自分はまだまだだからとおじけないで、まずはやってみて欲しい。

インスタに商品を投稿したらパクられたから、投稿するのを躊躇してしまうという人も多いけど、私はそこは全く気にしていません。
最終的には商品でなく、作家さんの人格にお客様がついてくるので、おびえる必要は無いと、minneの作家活動アドバイザーとして、奄美市とともに指導していただいた、和田まお先生(現在は退職)もおっしゃっていましたし、私もその通りだと思っています。

真似をされるのは、作品が魅力的だったからであり、ある意味勲章にもなりますから、それをマイナスに捉えない方が良いと思うんです。
テディベア作家さんなんて何万人もいますが、私の独自性で作っているテディベアは私だけが作れるもの。この子はこの子よっていう自信があります。

【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん

まずは作ってみて試行錯誤を重ねて、経験を重ねることで上達していく。その中で自分らしさというものが見つけられて、自信の強みになっていくのだと思います。
ぜひ、奄美にいる多くの作家さんが積極的にものづくりを行い、あまみのハンドメイドがますます活性化されていくことを願っています。



久保 智子さんプロフィール


【受賞者インタビュー】第7回あまみハンドメイド大賞グランプリ・久保 智子さん

ものづくりが大好きで、フルタイムの仕事と両立しながらBLANCH(ブランシェ)として、大島紬を使用したバッグやがま口キーホルダーなどオリジナル製品を製作するハンドメイド作家。
作家の気持ちが込められるものを作りたいと、大島紬のハギレを使用して作られたテディベアが大きな反響を呼び、第7回あまみハンドメイド大賞では、グランプリと奄美市賞の2つを同時受賞した。

久保さんのインスタグラム:https://www.instagram.com/moko.moko3889/
主に作品を紹介しているアカウント:https://www.instagram.com/blanche.amami/


販売ページ(minne) https://minne.com/@blanche77




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